下眼瞼切開術|手術の詳細
下まぶたのシワやタルミ、皮膚と筋肉がゆるんで目の奥から はみ出した脂肪(目袋)や溝のように凹んで出来たクマを改善します。
下まぶたのまつげの際を切開し、皮膚と筋肉を同時に引き上げ、余った皮膚を切除します。突出(としゅつ)している脂肪は、一部を切り取り、残りを窪んでいる部分へ移動して、まぶたの凹凸を滑らかにします。
【麻酔方法】
局所麻酔 静脈麻酔+ラリンゲルマスク 全身麻酔
下眼瞼切開術|ダウンタイム・術後経過
【ダウンタイム】
個人差があります。
■ 腫(は)れ
約3 日~2 週間 下まぶたから目の周囲に出る可能性があります。
白目に腫れが出ると、白目を覆っている膜が、ゼリー状に膨らむことがありますが、通常1~2 週間で消失します。稀なことですが、3 ヶ月程 続くこともあります。
■ 内出血
注射の針が当たるか手術操作によって細かい血管が傷つくと、皮膚の下で出血し紫色になりますが、1~2 週間で消失します。下まぶたから目の周囲に出る可能性があります。
また、白目に内出血が出現すると白目の一部が赤く見えますが、こちらも1~2 週間で消失します。
■ 抜 糸
7 日目(下まつげの際についている黒い糸を抜糸します)
■ コンタクト
当日から可能ですが、ゴロゴロと違和感があるときは中止して下さい。
■ メイク
アイメイクは抜糸の翌日から可能です。その他の部分は手術の2 日後から可能です。
■ 完 成
約3~4ヶ月
【ダウンタイム後の経過】
手術後は腫れやむくみがあり、ご希望と異なると感じることがありますが、しばらくお待ち頂くことでご希望通りに落ち着きますので、ご安心ください。
1. まぶた
○ 手術後の腫れやムクミにより、一時的に下まぶたの下がり具合が大きい・左右差があると感じることがあります。
○ まれに、視界がぼやけて見える時期があります。角膜の腫れが影響していると考えられますが、腫れが落ち着くと共に改善されます。
○ 下まぶたのゆるみ防止のために行う固定により目尻部分が横に引っ張られ、目元が突っ張った状態になる事がありますが、術後1 ヶ月程で徐々に改善されます。
2. 傷
傷の赤みは数ヶ月かけて薄茶色(色素沈着)から白っぽい線へと変化し改善します。
3. 加齢による変化
手術後もシワ、タルミ、膨らみなど加齢による変化は引き続き起こります。
下眼瞼切開術|術後に起こりうるトラブル・対応
【喫煙について】
喫煙は血液の循環を悪くする為、傷の治りが悪くなります。細菌がついて感染を引き起こす原因にもなります。
術前2 週間前~術後最低1 ヶ月は禁煙をお願い致します。
手術後4 ヶ月間は、腫れや炎症が残っているため、手術を行うと、傷が汚くなる、癒着(ゆちゃく)が強く変形するなど、原則として調整や手術は行えない時期です。腫れや炎症が収まる4 ヶ月以降に判断し、調整を行わせて頂くことを御了承下さい。
※文中の『術後』の表記においては、初回手術を基準とさせて頂きます。
下眼瞼切開術|トラブル一覧
A) 白目の腫れ(浮腫)
B) 膨らみが残る
C) 下まぶたが凹みすぎたと感じる
D) 下まぶたの外反(下まぶたが外側に反った状態)や下三白眼(黒目の下の白目が見える)
E) タルミが残る
F) 細かいシワが残る、または小ジワの増加
G) 膨らみや凹み、タルミ具合の左右差
H) 目の下に凹みが出来る
I) 傷の凹みや段差
J) 涙が溜まりやすくなる
K) 若返り効果の物足りなさ
L) 中縫いの糸が出てくる
M) 目尻がつっぱる
N) 感 染(化膿する)
O) 血が溜まる
P) 傷が開く
Q) 白目や角膜の損傷
R) 眼球の火傷
A) 白目の腫れ(浮腫(ふしゅ))
A-1トラブルの内容
白目を覆っている膜が、ゼリー状に膨らむことがあります。
A-2 対応
白目の腫れ(浮腫)は、時間と共に消失しますが、腫れ大きい場合は、まぶたを1 週間程縫い合わせる処置を行うことで、回復を早めることが出来ます
B) 膨らみが残る
B-1トラブルの内容
手術後、目袋の原因となっている脂肪を取り除く量が足りませんと、目袋の膨らみが残ることがございます。
筋肉や皮膚のゆるみが原因で、膨らみが残ることもございます。
B-2 対応
目袋のふくらみが気になる場合は、まぶたの裏側(結膜)を切開するか、再度同じ傷(皮膚)を切開して、残っている脂肪があれば切り取ります。
ふくらみの原因が脂肪ではなく、皮膚や筋肉のタルミの場合は、手術をしても脂肪を取り除くことができませんことをご了承ください。
皮膚や筋肉のゆるみに対しては、皮膚を切開して目尻で筋肉を吊上げる処置を致します。再手術をしても、目袋のふくらみが完全には取れないことがありますことをご了承ください。
C) 下まぶたが凹みすぎたと感じる
C-1トラブルの内容
目袋の原因である脂肪を処理して、膨らみを小さくする手術を行います。脂肪をたくさん切り取りますと、目袋の部分が凹みます。
患者様の好みによっては、仕上がりが凹み過ぎたと感じることがあります。目の下のくまの溝が深い人や涙袋が大きい人では、凹みが目立ちやすくなります。
C-2 対応
下まぶたの凹みが気になる場合、ヒアルロン酸で術前の状態近くまで膨らませることが出来ます。
ただし、ヒアルロン酸の効果は永久的なものではございません。定期的(1 年に1 回程度)に繰り返す必要がございます。
D) 下まぶたの外反(がいはん)(下まぶたが外側に反った状態)や下三白眼(さんぱくがん)(黒目の下の白目が見える)
D-1トラブルの内容
皮膚を切除する量が多すぎますと、まぶたが下に引っ張られて、まぶたと眼球の間にすき間が出来る、あるいはまぶたがひっくり返ってしまうことがあります。それを避けるため、皮膚を取り過ぎないように注意して手術をさせて頂きます。
手術終了時には、皮膚を取り過ぎていなくても、傷が治る過程で硬くなって縮んだり、切開した影響で下まぶたの筋肉の力が弱くなったりしますと、下まぶたが下がったり外反したりします。
D-2 対応
手術後3~4 ヶ月経過すると、皮膚のキズが軟らかくなり、また弱った筋肉が回復することによって、外反や下三白眼は改善されてきます。その間は出来る限り、下まぶたにテープを貼って持ち上げて頂く事をおすすめ致します。
術後4 ヶ月経過しても外反『がいはん』や下三白眼が残った場合には、目尻で下まぶたを引っ張りあげるか、下まぶたに皮膚を移植する手術によって修正をさせて頂きます。皮膚移植をしますと、余分な傷跡ができますことをご了承ください。
E) たるみが残る
E-1トラブルの内容
皮膚を切り取る量が少なかったり、筋肉や皮膚のつり上げが弱かったり、外側の脂肪が残ったりしますと、タルミが残ります。十分な皮膚を切り取ってしっかりとつり上げを行っても、皮膚や筋肉のハリが低下している人では、タルミが残ってしまいます。
下まぶたは、目を開閉する時に伸び縮み致しますので、ある程度のタルミが必要です。それがタルミとして見えてしまうこともございます。
E-2 対応
残ったタルミの修正をご希望の場合は、再度同じ傷を切開して残っている脂肪があれば脂肪を処理し、筋肉の吊上げ、皮膚の切除をさせて頂きます。ただし、再手術をしてもご希望通りの仕上がりにならないことがありますことをご了承ください。
また、再手術後は外反や下三白眼を起こしやすいことをご理解ください。下まぶたの若返りには、こめかみリフトやミッドフェイスリフト、ドールチークの治療が効果的です。
F) 細かいシワが残る、または小ジワの増加
F-1トラブルの内容
下まぶたは、目を開閉する時に伸び縮みしますので、下まぶたの皮膚にはある程度のゆるみが必要です。下まぶたを指で引っ張った時のように皮膚をピンと突っ張らせるわけにはまいりません。そのため、皮膚にちりめんジワや細い線のシワは残ります。
F-2 対応
下まぶたにヒダのようなタルミや深いシワが残っている場合は、皮膚の切除を可能な限り行わせて頂きます。
しかし、皮膚をたくさん切り取って細かいシワをなくすことはできませんし、外反を起こしやすくなることをご了承ください。ちりめんジワや笑いジワにはボトックスをおすすめ致します。
G) 膨らみや凹み、タルミ具合の左右差
G-1トラブルの内容
皮膚や筋肉の引き上げの強さや、つり上げる位置のずれ、脂肪の処理の多少の左右差が原因で、下まぶたのふくらみや凹みやタルミに左右差を起こすことがあります。元々、左右差がある人では左右差が残りやすくなります。
G-2 対応
下まぶたのタルミやふくらみ、凹みに左右差がある場合は、上記のB),C),E)に準じて調整を行ないます。
H) 目の下に凹みが出来る
H-1トラブルの内容
下まぶたの筋肉を吊上げて固定する為、皮膚の表面にエクボの様な凹みが出来る事があります。
H-2 対応
筋肉のつり上げによって出来た下まぶたの凹みは、殆どの場合、3~6 ヶ月で目立たなくなります。
凹みが目立つ場合、ヒアルロン酸を注入し、一時的に凹みを浅くさせて頂きます。
稀に、6ヶ月経過しても凹みが完全に消えない事もあります。どうしても凹みが気になる場合は、再度切開をして、吊上げた糸を取り除く手術をさせて頂きます。
I) 傷の凹みや段差
I-1トラブルの内容
縫い合わせた傷口がずれる、または肌質が原因で傷の凹みや段差が出来る事があります。
I-2 対応
傷の凹みや段差が気になる場合、CO2 レーザーにて傷を削り、目立たなくします。
レーザーでは治らない大きな凹みや段差は、傷を切り取って再縫合させて頂きます。
J) 涙が溜まりやすくなる
J-1トラブルの内容
下まぶたと眼球の表面の間に、小さなすき間が出来て涙が溜まることがあります。下まぶたの外反やゆるみが原因です。3~6 ヶ月程経過を待って頂きますと、キズが柔らかくなりまぶたの筋肉の麻痺も回復してきますので、涙が溜まることも少なくなります。
J-2 対応
下まぶたの外反(がいはん)や、ゆるみの為、下まぶたと眼球の表面の間に小さなすき間が出来て、涙が溜まることがあります。3~6 ヶ月待って頂いても気になる場合は、上記D)に準じます。
K) 若返り効果の物足りなさ
K-1トラブルの内容
元々、下まぶたのすぐ下の頬の骨が後ろに引っ込んでいる、頬の肉が痩せている、あるいは加齢で頬の肉が垂れていますと、下まぶたの下の頬にボリュームが足りません。術後に下まぶた~頬にかけて凹みが出来て下眼瞼切開の若返り効果が半減してしまいます。
K-2 対応
元々のシワやタルミ、頬のボリューム不足により、思った程の若返り効果が得られないことがあります。
下まぶたの下の頬のボリュームがもともと少なく、術後に下まぶた~頬にかけて凹んで影になって見える場合は、ドールチークやミッドフェイスリフトで頬のボリュームアップを図ることをお勧めします。
L) 中縫いの糸が出てくる
L-1トラブルの内容
中縫いの糸(皮膚の下の組織を縫い合わせる糸)が露出することがあります。
L-2 対応
中縫いの糸(皮膚の下の組織を縫い合わせる糸)が露出することがあります。放置していると化膿する危険がありますのでお早めにご来院ください、糸を取り除く処置をさせて頂きます。
M) 目尻がつっぱる
M-1トラブルの内容
下まぶたのタルミを目尻で引き上げ、余った皮膚を切除する為、手術後は目尻部分につっぱり感が出ます。
下まぶたの外反を予防する目的でまぶたの組織(瞼板)を目尻の骨に固定する処置をさせて頂いた場合は、つっぱり感が3 ヶ月程続くことがございます。
M-2 対応
下まぶたのタルミを目尻で引き上げ、余った皮膚を切除します。その為、手術後は目尻部分につっぱり感が出ます。つっぱり感は、3~6 ヶ月の経過で軽減していきます。それでもつっぱりが残る場合は、目尻の傷を切開して縫い直しを行います。また、必要に応じて皮膚を移植する手術によって修正させて頂きます。
N) 感 染(化膿する)
N-1トラブルの内容
下まぶたに赤み・腫れ・痛み・熱感が増したり、長く続いたりする場合は、感染の疑いがあります。
N-2 対応
感染が起きた場合は、抗生剤の投与を行い、必要に応じて傷を再度開ける、もしくは、新たに切開し膿を出すなどの処置を行います。
O) 血が溜まる
O-1トラブルの内容
術後に傷の中で出血しますと、血が溜まってまぶたが紫色に腫れ上がります。血が溜まったままにしておきますと、感染やしこりを作る恐れがあります。
O-2 対応
血が溜まった場合は、再度、傷を開け、溜まった血液を排出します。
P) 傷が開く
P-1トラブルの内容
稀に糸が外れて、傷が開いてしまうことがあります。
P-2 対応
傷が開いた場合は、再度、縫合いたします。
Q) 白目や角膜の損傷
Q-1トラブルの内容
大変稀なことですが、可能性は否定できません。手術中に、手術器具が当たる、あるいは糸やまつ毛の先端が当たって眼球の表面に傷がつくことがございます。
Q-2 対応
白目や角膜の損傷や眼球に火傷が生じた例も報告されています。状態に応じた処置や対応を行います。
R) 眼球の火傷
R-1トラブルの内容
大変稀なことですが、可能性は否定できません。手術中に血を止めるための電気メスやバイポーラによって発生した熱で、眼球の表面に火傷を作る可能性があります。
R-2 対応
白目や角膜の損傷や眼球に火傷が生じた例も報告されています。状態に応じた処置や対応を行います。