治療法の詳細
◆ 頬部(きょうぶ)フェイスリフト
頬のたるみを引き上げ、シャープなフェイスラインをつくります。
側頭部では髪の毛の中か生え際を切開します。
耳前部から耳後部では耳の輪郭に沿って切開します。
頬の皮膚と筋膜の下をはがし、筋膜とリガメント(靭帯)を引っ張ります。
◆ 頸部(けいぶ)フェイスリフト
首元のたるみを改善します。
通常、頬部フェイスリフトにプラスして行う手術です。
耳後部から襟足の目立たない部分を切開し、余分な皮膚を切り取って首の皮膚と筋膜を引き上げる手術です。
【麻酔方法】
全身麻酔
ダウンタイム・術後経過
【ダウンタイム】
個人差があります。
■ 腫(は)れ
1~2 週間程で目立つ腫れはひいていきます。
■ 内出血
細かい血管が傷つくと、皮膚の下で出血し、紫色になりますが、2~4 週間で消失します。
■ ドレーン(管)
皮膚の中に血が溜まるのを防ぐ為に血を抜く管を挿入します。
翌日~3 日間留置することがあります。管を抜く際に傷口から出血することがあります。
■ フェイスバンテージ(圧迫固定をするバンド)
1 週間 その後は就寝時のみ1 ヶ月間装着して下さい。
■ 抜 糸
耳、首、こめかみなど表面の傷口は1 週間後、頭の中の傷口は2 週間後に行います。
■ メイク
傷口以外はドレーン抜去の翌日から可能です。傷口部分は抜糸の翌日から可能です。
■ 完 成
4~6 ヶ月
■ 通 院
1 日目・(2 日目)・1 週目・2 週目
【治療後の経過】
1. むくみ
術後3 ヶ月はムクミがありますのでリフトアップによる小顔効果が実感できないことがあります。
2. つっぱり感
術後3 ヶ月はつっぱり感のある顔になりますが、徐々になじんできます。
3. 口が開けにくい
術後1~3 ヶ月は違和感があり、口が開けにくくなることがありますが、徐々に改善されます。
4. 傷
傷の赤みは数ヶ月かけて薄茶色(色素沈着)から白っぽい線へと変化し改善します。
3~6 ヶ月は傷が硬くなりますが、徐々に改善されます。
術後に起こりうるトラブル・対応
【喫煙について】
術前2 週間前~1 ヶ月は禁煙をお願い致します。喫煙により血液の循環を悪くすることで、傷の治りが悪くなります。
その為、傷口が赤く盛り上がって目立つ、また、頭の中の傷口の脱毛箇所が広くなってしまうことがあります。
また、細菌がついて感染を引き起こす原因にもなります。
手術後4 ヶ月は腫れや炎症が残っているため、傷が酷く残りやすく、また癒着(ゆちゃく)が強く変形が起きやすいため、原則として再手術には適さない時期です。腫れや炎症が治まる4 ヶ月以降に判断し、調整を行わせていただくことをご了承下さい。
トラブル一覧
A) 感染(化膿する)
B) 中縫いの糸(皮膚の下の肉を縫い合わせる糸)の露出
C) 血が溜まる
D) 皮膚の壊死
E) しわが残る
F) たるみが残る
G) 引き上がりの左右差
H) 引き上がりが強すぎる
I) 傷が赤く盛り上がる(ケロイド状)
J) 傷口にギャザーがよる
K) 脱毛する(はげる)
L) 顔面神経麻痺(眉毛の動き、口の動きの麻痺)
M) 頬のしびれ・知覚鈍麻
N) 耳たぶが伸びる・耳の変形
O) 傷の段差・凹み
P) 皮膚の表面の凹み(凹凸)
A) 感染(化膿(かのう)する)
A-1トラブルの内容
手術後、熱感・痛み・腫れが増す、あるいは長引く場合は感染が疑われます。
A-2 対応
感染が起きた場合は、内服薬の服用、抗生剤の投与、洗浄をします。
また、感染がひどいケースでは、傷口の一部を再度切開し膿を出す必要があります。
B) 中縫いの糸(皮膚の下の肉を縫い合わせる糸)の露出
B-1トラブルの内容
中縫いの糸(皮膚の下の肉を縫い合わせる糸)が出てくることがあります。
B-2 対応
中縫いの糸が露出した場合、放置していると化膿する危険がありますのでお早めにご来院ください。糸を取り除く処置をさせて頂きます。
C) 血が溜まる
C-1トラブルの内容
手術後、傷の下で出血し大量の血が皮膚の下に溜まってしまい、こぶのように紫色に腫れ上がることがあります。
放置しておくと、皮膚が引っ張られ過ぎて血行が悪くなり皮膚が壊死する可能性がある為、緊急に処置が必要になります。
C-2 対応
傷口の一部を再度切開し、溜まった血を排出する処置を行わせて頂きます。
D) 皮膚の壊死
D-1トラブルの内容
皮膚を引っ張って傷を縫い合わせる為、傷口の緊張が強く、皮膚の血行が悪くなります。その為、傷口付近の皮膚が壊死し、黒いかさぶたになることがあります。喫煙、術後の強い腫れ、大量の血が溜まるといったことが起きますと、引き上げた皮膚の血行が悪くなり、壊死する危険が高くなります。
D-2 対応
皮膚が壊死した場合は、状態により必要な処置をさせて頂きます。ほとんどの場合、壊死する範囲は小さいので、周りの皮膚が伸びてきて傷がふさがるのを待つことになります。その間、傷の治りを早める軟膏をお渡ししますので1 日2 回塗って下さい。
壊死してしまった部分の傷がふさがると赤黒い傷跡になります。傷跡は半年かけて徐々に白くなっていきます。
大変稀なことですが、壊死した範囲が非常に大きい場合は植皮移植をさせて頂くこともあります。
E) しわが残る
E-1トラブルの内容
フェイスリフトでは耳の周りの切開線に向かって皮膚を引っ張りますので、切開部より離れた部分ほどシワが残る可能性があります。
特に鼻唇溝、マリオネットラインのシワは切開部より離れている為、改善はあまり期待できません。
E-2 対応
鼻唇溝やマリオネットラインのシワには、ヒアルロン酸の注入や自己の脂肪注入をおすすめいたします。
F) たるみが残る
F-1トラブルの内容
口を開けたり閉じたりできるよう頬にはある程度のゆるみが必要です。そのゆるみの分だけタルミは残ります。
術中の腫れが強いた為、あるいは筋膜や皮膚にはりがない為、強く引き上げることができないことがあります。
その場合もたるみは残ります。
F-2 対応
術後に残ったタルミの改善を希望される場合、再度リフト手術をさせて頂きます。
但し、引き上げれば引き上げるほど傷口に緊張が加わり、H)・I)・L)の症状が出やすい為、やりすぎでない程度のリフトをおすすめいたします。
G) 引き上がりの左右差
G-1トラブルの内容
骨格やたるみの左右差や術中の腫れの左右差のため、左右同じようにリフトをしてもタルミに左右差が生じることがあります。
G-2 対応
左右差の改善を希望される場合は、たるみの多い方を再手術させて頂きます。但し、再手術を行っても完全に左右対称にならないことがあります。
また、再手術で引っ張ると、傷口の緊張が強くなって、傷がケロイドのように赤く盛り上がる、皮膚が壊死する、耳が変形するといったトラブルが起こりやすくなることをご理解下さい。
H) 引き上がりが強すぎる
H-1トラブルの内容
術後3 ヶ月程は突っ張り感が強い、目がつり上がっていると感じることがあります。
H-2 対応
術後3 ヶ月程は突っ張り感が強いのですが、徐々にゆるみが出て馴染んできますのでお待ち下さい。
6 ヶ月経過しても上がりすぎていると感じる場合、引き上げた頬の皮膚をゆるめて下げる手術をさせて頂きます。
切り取った皮膚の隙間を埋めるために、皮膚移植が必要となる場合もあります。
I) 傷が赤く盛り上がる(ケロイド状)
I-1トラブルの内容
切開部の傷が赤く盛り上がる場合があります。
I-2 対応
ステロイドの注射をすることにより、傷を平らにする効果が期待できます。
ステロイド注射は効果がでるまで1ヶ月間隔で繰り返す必要がございます。副作用としては皮膚が薄くなる、凹む、毛細血管が浮き出るといったことがございます。
J) 傷口にギャザーがよる
J-1トラブルの内容
こめかみの生え際や耳の後面で皮膚を縫合しますが、皮膚のたるみが多いとつじつまが合わず、余った皮膚がギャザーのようによじれることがあります。通常半年程でなじんで目立たなくなりますがギャザーが残ってしまうこともあります。
J-2 対応
半年経過をみて頂くとギャザーは目立たなくなることが多いのですが、それでもギャザーが残ってしまった時には、切開線を延長してギャザーの原因である余った皮膚を切り取って縫い直させて頂きます。
K) 脱毛する(はげる)
K-1トラブルの内容
体質により、髪の毛の生え際を切開した場合、一時的に脱毛することがあります。
頭の中の髪の毛が生えている部分を切開した場合は、一時的に傷の周囲が脱毛することがあります。
K-2 対応
傷の周囲の脱毛は半年程でほとんど回復します。頭の中の髪の毛が生えている部分を切開した場合は、最終的に2~5 ミリの脱毛が傷のように残ります。
◆ はげてしまった部分の周囲に皮膚の余裕があれば、再度切開し縫い縮めることにより、脱毛部分の幅を小さくすることができます。
他に植毛という方法もありますので、ご希望の場合にはご相談下さい。
L) 顔面神経麻痺(眉毛の動き、口の動きの麻痺)
L-1トラブルの内容
手術操作の際に顔面神経が引っ張られてしまう場合があります。それによって術後しばらくの間、眉毛の動きや口の動き、笑った時の頬の動きに麻痺(左右差)が出る可能性があります。
L-2 対応
通常1 ヶ月から半年で自然回復します。ごく稀に完全には麻痺が回復しないこともあります。麻痺が回復するまでの間、左右のバランスを整える目的で麻痺が出ている箇所とは反対側に、ボトックスを注射し改善する方法もあります。
M) 頬のしびれ・知覚鈍麻
M-1トラブルの内容
手術操作の際に頬の細かい知覚神経を切ることになりますので、頬の表面の知覚が鈍くなります。
M-2 対応
ほとんどの場合、3~6 ヶ月以内に自然に回復します。ごく稀に完全には元に戻らないこともあります。
N) 耳たぶが伸びる・耳の変形
N-1トラブルの内容
術後にリフトの後戻りが起こる為、時間が経つにつれて耳が下方や前方に引っ張られてくることがあります。
その為、耳の変形が起こらないように、耳の周囲の皮膚を切り取るときには余りを残すようにしますので、手術直後は耳たぶがよじれたような形になります。
N-2 対応
2~3 ヶ月で改善されます。
予想以上に後戻りが起きたときには、耳たぶが伸びてしまいます。これに対しては以下のような治療を行わせて頂きます。
◆ 頬にたるみが残っている場合は、再度リフトをしてたるみを耳に向かって引き寄せ、耳たぶの皮膚縫合に緊張が加わらないように処置することで多少改善できます。
◆ 頬にたるみが残っていない場合は、伸びてしまった耳たぶの付け根の皮膚を切開し、少し上に持ち上げた部分に耳たぶを付け直すことで改善できます。しかし、耳たぶの下の部分に傷が残りますことをご理解下さい。
O) 傷の段差・凹み
O-1トラブルの内容
出来るだけ丁寧に縫合しておりますが、肌の性質により傷跡の段差や凹みが起こる場合があります。
O-2 対応
傷跡の段差や凹みが起こる場合は、CO2 レーザーを照射し、削って滑らかにする、ぼかす等の処置を行わせて頂きます。レーザー処置後は、治療部位に赤みが3ヶ月程残ります。
レーザーで修正できない程の大きな段差や凹みは、傷を切り取って縫い合わせる処置を行わせて頂きます。
P) 皮膚の表面の凹み(凹凸)
P-1トラブルの内容
皮膚を縫い合わせた傷には強い緊張がかからないように、皮下の筋膜やリガメントや真皮に糸をかけて吊り上げておきます。そのため、皮膚の表面に凹みができます。3~4 ヶ月でなじんできて平らになります。しかし、皮膚のゆるみが強いと凹みが残ってしまいます。
P-2 対応
通常、4 ヶ月程で目立たなくなりますが、それまでの間に修正を希望される場合には、ヒアルロン酸を注射して凹みを浅くする処置をさせて頂きます。
半年しても凹みが残っている場合には、再度フェイスリフトの傷跡を部分的に切開して凹みの周りを剥離して引き伸ばす処置をさせて頂きます。