隆鼻術(テキスト版)|術後に起こりうるトラブル・対応

手術の詳細 ダウンタイム・術後経過 術後に起こりうるトラブル・対応

隆鼻術|手術の詳細

鼻背に人工素材(シリコンプロテーゼ、ゴアテックス)又はご自身の軟骨を挿入し、鼻を高くみせる手術です。

既製品のシリコンプロテーゼを使用する際には、できるだけ患者様のご希望に合うように部分的に削って厚みを調整します。しかし、患者様一人一人の鼻骨の形にぴったり合わせることはできません。

オーダーメイドのシリコンプロテーゼは、CTデータから作成した3Dモデルを使って個人個人の鼻骨にしっかりフィットするように作成することができます。


 
■ 希望する形


隆鼻術:アップノーズ
隆鼻術:わし鼻風
隆鼻術:ストレート


 
■ シリコンプロテーゼ
形はL 型とI 型があります。ゴアテックスと比較すると硬めの素材です。
鼻筋をシャープに見せたい方に適しています。
 
L 型プロテーゼI 型プロテーゼタイプ1I 型プロテーゼタイプ2
 
■ ゴアテックス
通気性と保温性に優れているためにスキーウェアーなどに用いられている繊維です。
布のように軟らかい上に人体との親和性に優れているため、美容整形はもちろんのこと、医療用として人工血管や心臓のパッチ、脳を包む硬膜の修復に用いられています。
シリコンプロテーゼに比べて、輪郭が浮き出ることが少ないという利点がありますが、感染や鼻筋の曲がりはシリコンプロテーゼに比べて、起こりやすいのが欠点です。

手術前

 

■ 自 己 組 織
ご自身の耳介軟骨や肋軟骨を採取し、移植します。
人工物と比べて、感染のリスクが少ないという利点がありますが、希望の形を作りにくい欠点があります。


隆鼻術:自家組織軟骨採取
隆鼻術:自家組織筋膜でチューブの作成
隆鼻術:自家組織挿入


■ 切 開 方 法


隆鼻術、切開方法


【麻酔方法】
局所麻酔 笑気ガス麻酔 ラリンゲルマスク麻酔 全身麻酔

 

隆鼻術|ダウンタイム・術後経過

【ダウンタイム】
個人差があります。
 
■ 腫れ
 
約2~3 日目をピークに約7 日~10 日間程で目立つ腫れはひいていきます。
内出血や感染症が起こった場合は、腫れが長引くこともあります。
※術後1 週間はギブスを装着しますので、表から腫れは見えません。
 
 
■ 内出血
 
起こらないこともありますが、起こってしまった場合、約1~3 週間目元や鼻周辺が紫色や緑色になります。
 
 
■ ドレーン(管)
 
出血が皮下に溜まるのを防ぐ為に、1~3 日間鼻内に留置することがあります。
抜く際に鼻の粘膜から出血することがあります。
 
 
■ ギプス
 
約1 週間
 
 
■ 抜 糸
 
【クローズ法】2 週間後
隆鼻術だけの場合、クローズ法にて行います。
鼻の内側よりアプローチする為キズは鼻の穴の中のみです。

【オープン法】約1 週間(鼻の表面) 約2 週間(鼻の穴の中)
鼻中隔延長や複雑な鼻尖の手術を合わせて行う場合はオープン法にて行います。
表面よりアプローチする為、鼻の外側にも傷が出来ます。
 
 
■ メイク
 
治療箇所以外はメイクが可能です。1 週間目の抜糸後からは全体にメイクが可能です。
 
 
■ 通 院
 
術後1 日~3 日目、1 週間目、2 週間目
 
 
【ダウンタイム後の経過】

1、むくみ
 
ギプス除去後は一時的にむくみを感じます。
その為「長すぎる」「高すぎる」「太すぎる」と感じることがあります。
時間の経過と共に落ち着き4~6 ヶ月程経つとスッキリと見えてきます。
 
 
2、傷
 
基本的にクローズ法で行いますので、傷は鼻の中に出来ます。
鼻中隔延長や複雑な鼻尖の手術を合わせて行う場合にはオープン法にて行います。
その場合、数ヶ月は傷の赤みがあり、その後時間の経過と共に徐々に薄茶色(色素沈着)から白っぽい線に変化します。
3~6 ヶ月は鼻の中の傷が硬くなりますが、徐々に硬さは改善されます。
 
 
3、完成
 
約4~6 ヶ月

隆鼻術|手術後に起こりうるトラブル・対応

 

【喫煙について】
喫煙は血液の循環を悪くする為、傷の治りが悪くなります。細菌がついて感染を引き起こす原因にもなります。
術前2 週間前~術後最低1 ヶ月は禁煙をお願い致します。

 
手術後3 ヶ月間は、腫れや炎症が残っている為、手術を行うと傷が汚くなる、癒着が強く起こり変形してしまう等、原則として手術に適していない時期です。腫れや炎症が治まる3 ヶ月以降に判断し、調整を行わせて頂くことをご了承下さい。
 

隆鼻術|トラブル一覧

 
A) 感 染(化膿する)
B) 血が溜まる
C) 傷が開く
D) 糸が出てくる
E) 鼻筋の曲がり・ズレ
F) 鼻の穴のひきつれ・穴が左右非対称
G) 鼻筋の違和感・異物感
H) 鼻筋の高さ・幅・長さ等の見た目の違和感
I) プロテーゼの飛び出し
J) プロテーゼの輪郭が浮き出る
 
 

A) 感 染(化膿(かのう)する)

A-1トラブルの内容

当院では、現在の医療水準を満たす術野の滅菌と抗生剤投与によって感染予防に努めています。感染は手術侵襲や炎症のため、手術を受けた局部の免疫力が低下して、元々体に常在する細菌や外部から侵入する細菌が増殖するために起こります。術後、身体にストレスがかかるような行動(例えば長距離の旅行)や喫煙、患部に刺激を加える行為は感染を引き起こす誘因になりますので、できる限り控えてください。

術後治療部位に「熱感」「赤みが出る」「強い痛み」「強い腫れ」等といった状態が長引く場合は感染が疑われます。
放置すると皮膚が破れて膿が出る、プロテーゼが飛び出す、鼻の穴がひきつれる、鼻の表面が凹む等の症状が出る可能性がある為、必ず治療が必要です。
 
A-2 対応
処置として内服薬服用、抗生剤点滴投与を2週間行います。
膿がたまっている場合には小さく切開して膿を出す処置を行い、その後毎日傷の洗浄を行います。
 
それでも改善がみられなかった場合は抜去手術を行わせていただきます。
抜去後の再挿入手術の時期に関しては、感染の原因となる細菌が完全に消えてからとなります。
 
少なくとも抜去手術を行ってから最低4ヶ月間あけてから再挿入手術となります。
 
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B) 血が溜(た)まる

B-1トラブルの内容
術後皮膚の中で出血が起こると、傷の中に血が溜まってしまい、腫れ上がります。
 
B-2 対応
血が溜まってしまった場合は、直ちに鼻の中のキズを開いて溜まった血を排出する処置をさせていただきます。
 
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C) 傷口が開く

C-1トラブルの内容
稀に糸が外れて傷が開いてしまうことがあります。
皮膚の表面の糸は1 週間、鼻の中の糸は2 週間で抜糸します。
 
縫い合わせた傷は2~3 日で改善します。糸が抜けてしまっても傷が開くことは稀です。
しかし、傷口が引っ張られると癒着した傷が開いてしまうことがあります。
 
C-2 対応
糸が外れて傷が開いてしまった場合には、再縫合の処置をさせていただきます。
 
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D) 糸が出てくる

D-1トラブルの内容
プロテーゼや移植する軟骨を縫い合わせる糸が露出することがあります。
 
D-2 対応
放置していると化膿する危険がありますので早めにご来院下さい。糸を取り除く処置をさせて頂きます。
 
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E) 鼻筋の曲がり・ズレ

E-1トラブルの内容
術後1 週間は挿入したプロテーゼや軟骨が動かないようにギプスで固定しますが、それでも曲がりやズレが起こることがあります。
 
E-2 対応
「曲がっている」「ずれている」等といった症状がでた場合は、直ちに修正させていただきます。
 
ガス麻酔で眠っていただいたうえで、皮膚の上からプロテーゼを押して位置を直す処置をさせていただきます。
 
それでも改善しなかった場合には、鼻の中の傷を小さく切開して、鼻筋を修正する処置を行わせていただきます。
 
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F) 鼻の穴のひきつれ・穴が左右非対称

F-1トラブルの内容
鼻の穴の中の切開した傷が拘縮してひきつれると、鼻の穴が引っ張られ、左右差を生じることがございます。
特に再手術や感染が起きたケースでは、ひきつれも起こりやすくなります。
 
F-2 対応
術後半年を経過して傷跡が柔らかくなると、鼻の穴のひきつれも改善します。
それでもひきつれが残った時には、皮膚を移植する治療が必要となります。
 
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G) 鼻筋の違和感・異物感

G-1トラブルの内容
術後異物が入ったことにより、違和感(異物感)を感じることがあります。
時間の経過と共に異物感はなくなります。
 
G-2 対応
どうしても異物が入っていることに抵抗がある場合は抜去いたします。
 
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H) 鼻筋の高さ・幅・長さ等の見た目の違和感

H-1トラブルの内容
「 高い」「低い」「長い」「短い」「太い」「細い」といったイメージと違う結果になることがあります。

術後3~6ヶ月はムクミのために大きすぎると感じることが少なくありません。むくみが落ち着くまで6ヶ月程経過を見ていただく必要があります。
 
H-2 対応
修正をご希望の場合は、傷がまだ癒着していない術後1週間以内、あるいは、炎症が落ち着いた術後4ヶ月以降にプロテーゼの入れ替え手術をさせていただきます。
 
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I) プロテーゼの飛び出し

I-1トラブルの内容
プロテーゼが突然飛び出すということはありません。
その前に赤く腫れるという症状があります。赤みや腫れは感染やカプセル拘縮が原因です。
 
そのまま放置すると鼻先や鼻筋の皮膚に穴が開いて膿が出てきます。
更に放置するとプロテーゼが飛び出してきます。プロテーゼが出てきたキズはその後凹みやひきつれた傷跡を残します。
 

鼻に傷跡や変形を残さないためには、プロテーゼが飛び出す前に治療を行うことが大切です。赤みや腫れといった症状が出たときは、感染が疑われます。早急にご来院下さい。


I-2 対応

感染を抑える薬を服用する、または、プロテーゼの抜去といった処置を行います。

また、抜去後の再挿入手術をご希望の場合は、抜去手術より少なくとも4ヶ月後(感染の原因となる細菌が完全に消えてから)となります。
 
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J) プロテーゼの輪郭が浮き出る

J-1トラブルの内容

プロテーゼが鼻の骨にフィットしていない、プロテーゼの周りにできた被膜カプセルの袋に石灰沈着(骨の粒のようなものができる)が起こる、また、皮膚が薄くなってくると、プロテーゼの形が皮膚の上から透けて見えてきます。

特に、シリコンプロテーゼに起こりやすいと言われています。
 
J-2 対応
「プロテーゼの輪郭が浮き出てきてしまった」「鼻先が白く変色してきた」といった症状に対して修正をご希望の場合は、抜去手術または入替手術が必要となります。
 
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