ドールチーク(頬部)プロテーゼ挿入術|手術の詳細
シリコンでできたプロテーゼを頬骨(きょうこつ)の上に入れる手術です。
小さいサイズのものは下まぶたの裏側を切開して挿入します。
大きいサイズのものを入れる場合や、一緒に下まぶたのたるみを治療する場合は、まつ毛のすぐ下の皮膚を切開して挿入します。
■ 施術の流れ
【麻酔方法】
静脈麻酔+ラリンゲルマスク 全身麻酔
ドールチーク(頬部)プロテーゼ挿入術|ダウンタイム・術後経過
【ダウンタイム】
個人差があります。
■ 腫(は)れ
約1~2 週間(3 日目くらいが腫(は)れのピーク)
内出血や感染症になった場合、腫(は)れが長引くこともあります。
■ 内出血
手術操作によって細かい血管が傷つくと、皮膚の下で出血し紫色になりますが、1~2 週間で消失します。
■ 抜 糸
まつ毛のすぐ下の皮膚を切開した場合1週間目に抜糸します。
■ ドレーン
血が溜(た)まることを予防するために、血を抜く管を挿入することがあります。
手術の翌日から3 日までに抜去します。
■ 洗顔・シャワー浴
首から下は手術翌日から、顔・頭部はドレーン抜去の翌日から濡らしてかまいません。
■ メイク
ドレーン抜去の翌日から可能です。
■ 通 院
翌日・2日目(3日間)・術後1週間目
■ 完 成
約4ヶ月
【ダウンタイム後の経過】
1. むくみ
3ヶ月
2. 傷の経過
傷の赤みは数カ月かけて薄茶色(色素沈着)から白っぽい線へと変化し改善します。術後3ヶ月は傷が硬くなりますが徐々に硬さは改善されます。
ドールチーク(頬部)プロテーゼ挿入術|術後に起こりうるトラブル・対応
【喫煙について】
喫煙は血液の循環を悪くする為、傷の治りが悪くなります。細菌がついて感染を引き起こす原因にもなります。
術前2 週間前~術後最低1 ヶ月は禁煙をお願い致します。
手術後4 ヶ月は腫れや炎症が残っているため、傷が酷く残りやすく、また癒着(ゆちゃく)が強く変形が起きやすいため、原則として再手術には適さない時期です。腫れや炎症が治まる4 ヶ月以降に判断し、調整を行わせていただくことをご了承下さい。
ドールチーク(頬部)プロテーゼ挿入術|トラブル一覧
A) 感染(化膿する)
B) 異物反応(アレルギー反応)
C) 血が溜まる
D) 目の下から上口唇の知覚の麻痺・鈍さ、しびれ
E) 痛み・異物感
F) 上口唇を持ち上げる力が弱くなる
G) プロテーゼのずれ、左右差
H) プロテーゼの輪郭が浮き出る
I) プロテーゼが大きすぎる、又は、小さすぎると感じる
J) 中縫いの糸が出てくる
K) レントゲン・CT・MRIに対する影響
A) 感染(化膿(かのう)すること)
A-1トラブルの内容
手術後、熱感・痛み・腫れが増す、あるいは長引く場合は感染が疑われます。
A-2 対応
感染が起きた場合は、内服薬服用や抗生剤の投与を2 週間続けて経過をみます。
それでも治まらない場合はプロテーゼを抜去します。感染を避けるため4 カ月以上経過を待って頂く必要があります。
B) 異物反応(アレルギー反応)
B-1トラブルの内容
まれにプロテーゼに対して異物反応(アレルギー反応)を起こす場合があります。
B-2 対応
プロテーゼに対して異物反応(アレルギー反応)を起こす場合はプロテーゼを抜去します。
C) 血が溜(た)まる
C-1トラブルの内容
術後に傷の中で出血して血が溜まると、頬や目の周りが紫色に腫れ上がります。血が溜まったままにすると化膿したりしこりを作ったりするので早目の処置が必要です。
C-2 対応
再度、傷を開け溜(た)まった血を排出する処置をします。
D) 目の下から上口唇の知覚の麻痺・鈍さ、しびれ
D-1トラブルの内容
手術操作の際に知覚神経近くを触る必要があります。それによって目の下から上口唇の知覚の麻痺(まひ)・鈍さ、しびれがおこることがあります。
D-2 対応
ほとんどの場合1年以内に自然回復します。まれに、感覚が完全に元通りには戻らないということもあります。
E) 痛み・異物感
E-1トラブルの内容
手術後、頬に痛みや異物感を感じることがあります。時間の経過とともに馴染んできます。
E-2 対応
時間の経過とともに馴染んできますが、抜去をご希望の場合は、抜去させて頂きます。
F) 上口唇を持ち上げる力が弱くなる
F-1トラブルの内容
頬の筋肉を骨から剥離(はくり)するため、筋肉の動きが弱くなって頬の肉が持ち上がりにくくなり、笑った時に上の歯が見えにくくなることがあります。
F-2 対応
通常、3~6 ヶ月で回復しますが、気になる場合はプロテーゼを抜去することで改善されます。
G) プロテーゼのずれ、左右差
G-1トラブルの内容
頬骨(きょうこつ)の傾斜や頬の筋肉の動きによって、手術で作ったポケットの中でプロテーゼが安定する前にずれてしまうことがあります。また、長い経過のうちにずれてくる可能性もあります。プロテーゼが上の方へずれますと、下まぶたの下にプロテーゼの縁が浮き出てきます。
G-2 対応
術後プロテーゼの明らかなずれ、又は左右差が認められた場合は、プロテーゼ抜去・プロテーゼ位置の調整・プロテーゼの入替えで修正させて頂きます。プロテーゼのずれを防ぐためには、目の下の骨(頬骨)にドリルで穴をあけて、糸やスクリューで固定する必要がございます。
H) プロテーゼの輪郭が浮き出る
H-1トラブルの内容
頬の皮下脂肪が薄い方はプロテーゼの輪郭が浮き出て見えることがあります。
H-2 対応
輪郭が浮き出て見える場合はプロテーゼ抜去、または小さいプロテーゼへの入替え、輪郭をぼかすためにヒアルロン酸注入、または脂肪注入をすることで改善されます。
I) プロテーゼが大きすぎる、又は、小さすぎると感じる
I-1トラブルの内容
プロテーゼが大きすぎる、又は、小さすぎるといった患者様が予想していたイメージと違う結果になることがあります。
I-2 対応
① 大きすぎると感じる場合、プロテーゼ抜去、又は小さいプロテーゼへの入れ替えをいたします。
② 小さすぎる(頬のふくらみが物足りない)と感じる場合、大きいプロテーゼへの入れ替え、あるいはヒアルロン酸注入や脂肪注入をすることで改善されます。
※ プロテーゼが大きくなるほど、違和感やずれや輪郭が浮き出る可能性が高くなることを御了承下さい。
J) 中縫いの糸が出てくる
J-1トラブルの内容
中縫いの糸(皮膚の下の組織を縫い合わせる糸)が露出することがあります。放置していると化膿する危険がありますので早めの処置が必要です。
J-2 対応
糸を取り除く処置をさせて頂きます。
K) レントゲン・CT・MRIに対する影響
K-1トラブルの内容
頬部に入れたプロテーゼは画像に写ります。しかし、CT やMRI の検診を受けて頂くことに支障はございません。
K-2 対応
レントゲン・CT・MRIいずれの検査も問題なく受けていただけますが、CT・MRIにはプロテーゼは写ります。