額輪郭形成術(骨削り)|手術の詳細
後頭部を切開し皮膚を眉骨の辺りまで剥(は)がして出っ張った骨を一度切り取り、部分的に削った後、元に戻します。
骨は金属のプレートで固定します。同時に骨セメントもしくはアパタイトを入れて凹みの部分に丸みを出すことも可能です。
【麻酔方法】
全身麻酔
額輪郭形成術(骨削り)|ダウンタイム・術後経過
【ダウンタイム】
個人差があります。
■ 腫(は)れ
約10 日~2 週間。腫(は)れが額から目元へ移行してきますので視界が悪くなることがあります。
内出血や感染症になった場合、腫(は)れが長引くこともあります。
■ 内出血
手術操作によって細かい血管が傷つくと、皮膚の下で出血し紫色になりますが、1~3週間で消失します。
■ 抜 糸
1~2 週間
■ ドレーン
血が溜(た)まることを予防するために、血を抜く管を挿入することがあります。
通常、手術から4 日間入れておきます。留置期間は状態によって前後します。
■ メイク
ドレーン抜去の翌日から可能です。
■ 洗顔・シャワー浴
首から下は手術翌日から、顔と頭部はドレーン抜去の翌日から濡らしてかまいません。
■ 通 院
翌日・2日目(3日間)・術後1週間目・術後2週間目
■ 完 成
約6ヶ月
【ダウンタイム後の経過】
1. むくみ
3ヶ月~6ヶ月
2. 傷の経過
傷の赤みは数カ月かけて薄茶色(色素沈着)から白っぽい線へと変化し改善します。術後3ヶ月は傷が硬くなりますが徐々に硬さは改善されます。
また、頭髪内の傷に沿って数ミリ幅の脱毛が残ります。切開する範囲が広いため痛みが続く場合もあります。
【注意事項】
※ 鼻をかむのは、手術後3 週間控えて下さい。
額輪郭形成術(骨削り)|術後に起こりうるトラブル・対応
【喫煙について】
喫煙は血液の循環を悪くする為、傷の治りが悪くなります。細菌がついて感染を引き起こす原因にもなります。
術前2 週間前~術後最低1 ヶ月は禁煙をお願い致します。
※4ヶ月以内に再手術を行うと、傷が汚くなる、脱毛範囲が広がるなどの可能性があるためおすすめしません。
額輪郭形成術(骨削り)|トラブル一覧
A) 感染(化膿する)
B) 血が溜まる
C) 中縫いの糸が出てくる
D) 頭痛・貧血
E) 前額から頭部にかけて知覚が鈍くなる
F) 眉毛が動きにくくなる
G) 切開箇所の一時的な脱毛
H) 額凹凸
I) 左右差
J) 出っ張りの縮小効果が足りない
K) 凹みすぎと感じる
L) 目の焦点が合わない
M) レントゲン・CT・MRIに対する影響
A) 感染(化膿(かのう)すること)
A-1トラブルの内容
手術後、熱感・痛み・腫れが増す、あるいは長引く場合は感染が疑われます。
A-2 対応
感染が起きた場合は、内服薬服用や抗生剤の投与を2 週間続けて経過をみます。
また、膿みが溜まっているときは額の皮膚を切開して膿を出す必要があります。感染がひどいケースでは最悪の場合固定した骨を取り除かなければならないことがあり得ます。
大変稀なことではありますが、骨を固定するための金属(プレートやスクリュー)が感染の原因となることがあります。その際は、金属の抜去が必要になります。
B) 血が溜(た)まる
B-1トラブルの内容
術後に傷の中で出血して血が溜まると目元や額もしくは耳の周りが紫色に腫れ上がります。血が溜まったままにすると化膿したりしこりを作ったりするので早目の処置が必要です。
B-2 対応
再度、傷を開け溜(た)まった血を排出する処置をします。
C) 中縫いの糸が出てくる
C-1トラブルの内容
皮膚の中で縫合した糸の先端が皮膚をつきぬけて外に出てくることがあります。放置すると化膿するおそれがありますので早目の処置が必要です。
C-2 対応
糸を取り除く処置をさせて頂きます。
D) 頭痛・貧血
D-1トラブルの内容
術後、出血により頭痛が起こったり軽い貧血のような状態になったりすることがあります。
D-2 対応
輸血を必要とするようなことは大変稀です。症状に合わせた薬(鉄剤など)を処方します。
E) 前額から頭部にかけて知覚が鈍くなる
E-1トラブルの内容
手術操作の際に目の上で知覚神経の近くを剥離しますので、前頭部から頭頂部にかけて知覚が麻痺することがあります。また知覚が鈍くなりますと頭に痒みを感じることがあります。
E-2 対応
知覚の鈍さは約3~6 ヶ月かけて自然回復します。(回復期間内に頭に痒みを覚えることがあります。)
まれに、感覚が完全に元通りには戻らないこともあります。
F) 眉毛が動きにくくなる
F-1トラブルの内容
手術操作の際に、眉毛を持ち上げる筋肉を動かす神経の近くを触る必要があります。そのため、眉毛が上がりにくくなることがあります。
F-2 対応
眉毛が動きにくくなることがありますが、約1~3 ヶ月で自然回復します。
まれに、動きが完全に元通りには戻らないこともあります。眉毛の左右差が目立つ場合、眉毛の上がっている側(正常側)の額にボトックスを注射して左右のバランスを整えることができます。
G) 切開箇所の一時的な脱毛
G-1トラブルの内容
後頭部の切開箇所の毛が傷に沿って一時的に脱毛します。
G-2 対応
ほとんどの場合再生しますが、最終的に数ミリ幅の脱毛が残ります。しかし、傷は髪の毛で覆(おお)われているため目立つことはありません。
また、タバコを吸われる方は毛が再生せず、脱毛範囲が1 センチ程度にまで広がることがあります。
H) 額凹凸
H-1トラブルの内容
額の骨を切って固定した部分には段差ができます。通常表から見てわかるようなことはありませんが、皮膚の薄い人では目立つことがあります。
前頭洞という骨の空間が大きい場合削った骨を元に戻しても穴がふさがりきらないことがあります。この場合は露出した骨の空洞の部分が凹みになることがあります。
H-2 対応
凹凸の修正をご希望の場合、ヒアルロン酸注入で凹みを膨らますことができます。但し効果は永久には続きませんので必要に応じて注入を繰り返す(1 年に1 回程度)ことになります。
脂肪注入でも同じような効果が得られます。骨を直接修正するためには後頭部の傷を切開するか眉毛付近を切開して出っ張った骨を削る、凹んだ部分に人工骨を充てんする、骨の空洞に骨移植をするといった処置をさせていただきます。
I) 左右差
I-1トラブルの内容
額の骨を切り取る大きさや固定する位置に左右のずれが生じますと額の輪郭に左右差が生じます。元々、顔の軸にずれがある、又は額の骨に左右差があるケースでは手術後に左右差が起こりやすくなります。
I-2 対応
修正をご希望の場合、額の出っ張りが小さいほうに対してヒアルロン酸や脂肪を注入して膨らみを作ることができます。
また骨の修正をするためには後頭部の傷を切開するか眉毛付近を切開して出っ張りの大きいほうの骨を削るか出っ張りの小さいほうに骨セメントを足す処置をさせていただきます。
J) 出っ張りの縮小効果が足りない
J-1トラブルの内容
額の骨の形や厚み・前頭洞と呼ばれる骨の空洞の広がりによって、額の出っ張りを下げられる量は制限されます。
そのため骨を移動したり削ったりした量が少なく、効果が物足りないことがございます。また可能な限り額の出っ張りを下げてもご希望の縮小効果が得られないことがあります。
J-2 対応
修正をご希望される場合はCTにて骨の形や厚みを調べます。もし削ったり切り取ったりできる骨があると確認できましたら手術をさせていただきます。その場合、後頭部の傷を切開し骨を削るもしくは切り取ったり致します。
K) 凹みすぎと感じる
K-1トラブルの内容
術後の額が思ったより平らになってしまったと感じることがあるかもしれません。
K-2 対応
修正をご希望の場合は、ヒアルロン酸や脂肪を注入して膨らみを作ることができます。
骨の修正をご希望の場合は、後頭部の傷を切開して骨セメントを使って額の骨を膨らませる処置をさせていただきます。
L) 目の焦点が合わない
L-1トラブルの内容
眼球の腫(は)れが原因のため、腫(は)れが引くにつれ改善します。
L-2 対応
腫れが引くにつれ改善します。
M) 固定金属のレントゲン・CT・MRIに対する影響
M-1トラブルの内容
骨を切った部位や骨を固定する金属製のプレートやワイヤーは画像に写ります。しかしCT やMRI の検査を受けて頂くことに支障はございません。
M-2 対応
レントゲン・CT・MRIいずれの検査も問題なく受けて頂けますが、骨セメントと固定金属は写ります。
人体に問題なく骨になじみの良い金属を使用しているため、原則的には抜去する必要はないと思いますが、どうしても気になる場合は、手術後4 ヶ月以降に抜去可能です。その場合、再度、後頭部を切開します。